「ふたりがどうしたいか」に向き合ったウエディング


おふたりからのお問合せをいただいたのは今年年明け頃のこと。インターネット検索で私のホームページにたどり着いてくださり、お問合せをくださいました。すぐにお会いする約束をし、地元のカフェでお会いしました。
お話をお伺いしてみると、すでに挙式の日は5月27日に決まっていて、挙式会場もご予約済みとのこと。ご家族の関係でおふたりのご実家近くの挙式会場ではなかったため、挙式後のお食事会をどこでするのが良いのか迷われていました。
挙式会場は滋賀県近江八幡市。近江八幡付近に結婚式場はあるものの、見に行かれた感じがあまりおふたりの好みではなかったそうで、レストラン等も視野に入れて探したいとのことだったので、おふたりの希望イメージなどをお聞きしました。また湖北の方で既にご検討中の会場がおありで、後日見学に行く予定とのこと。
そうして、いろいろとお話を伺っていくうちに新郎さまの本音がポツポツと湧き上がってきたのです。

「近江八幡周辺にもし自分たちに合うところがなかったら、琵琶湖を渡って対岸のここでも良いかな~と思って‥実は密かにチェックしてたんです。」
と、見せてくださったその場所は湖西のグランピング施設でした。
そのグランピング施設のウェブサイトを結構しっかりとチェックされていたご様子の新郎さまは、具体的なイメージもお持ちでした。
(新婦さまはそのお話が初耳だったらしく、目を丸くされていて、新郎さまがお手洗いに行かれたタイミングで、(新郎)くんがあんなに積極的に調べてくれていたなんて知らなかったからびっくりでした!とこそっと耳打ちしてくださったほどでした)そんな積極的な新郎さまのご様子に、なんだか楽しそうな結婚式になりそうだ‥!と嬉しくなったのを覚えています。
おふたりのご希望のすり合わせを再度おふたりの中でしていただきつつ、私は近江八幡付近の会場探しと、湖西のグランピング施設の見学等を進めていくことをお伝えし、お打合せを終えました。


いくつか候補を出しながら、ご提案を進めていきました。既に結婚式まであまり期間がなかったこともあり、同時進行でご試着にも行っていただき、私も同行させていただいたのでご両家のお母さまともお顔合わせをしました。お母さま方もとっても楽しんでくださり、ものすごく和やかに初回ご試着を終えました。この時点ではまだ場所が完全に定まり切っていなかったこともあり、色々とご提案をしながらおふたりのお気持ちを伺っていました。少しずつおふたりとの距離も近づいていき、このままお申込みに進まれそうな雰囲気になっていました。
ただ、その日は湖北の式場のこともまだ検討中のご様子だったので、一旦おふたりの気持ちが定まるのを待つことにし、お見送りをしたのです。

数日後、新郎さまより連絡があり、「今日湖北の式場に見学に行き、父もこの場所が良いんじゃないかと言ってくれまして、湖北の式場で決定することにしました。上嶋さんには色々と調べていただき、ご対応いただいたのに申し訳ないです。でも、先日伺った衣裳屋さんのお衣裳を借りて前撮りや水彩画の制作等ではお世話になりたいと思っています」

私への配慮の気持ちを込めてくださっていることに感激したものの、気遣いでそのようなお言葉をくださったのかなあ…と少し心苦しい気持ちもありました。
また、おふたりとの距離が近づいていくのを感じていたので、寂しい気持ちがなかったわけではありません。でも、これでおふたりはしっかりと決断をされたのだ、と応援したい気持ちになっていました。

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数日後、

再び新郎さまよりご連絡があったのです。
「やっぱり湖北の式場はやめました。自分たちのやりたい場所はここじゃないと思ったんです。でも、グランピング施設ももういいかなと思って。自分たちでできる範囲のお食事会をレストランでさらっとやるだけでいいかなと思っています」

この連絡をいただいたのが3月中旬のこと。今までのやりとりから、おふたりは周囲の方々への気遣いから本音がすぐに口に出せないタイプなのではないかと感じていました。
そんなこともあり、今おっしゃっていることが本心なのか、とっても気になっていました。結婚式当日は5月末なので、この時点であまり時間はなかったものの、まずはほんとうにやりたい!という強い気持ちをお聞きし、ブレない想いが必要だ、そう感じていた私は再度おふたりとしっかりとお話することにしたのです。

「もちろん、ご家族のためというお気持ちは必要だけれど、結婚をするのはおふたりだから自分たちの気持ちにわがままに。まずはご列席の方への配慮の前に、おふたりはほんとうにこの形で結婚式をしたいですか?おふたりの正直な気持ちが聞きたいです。」
気付くと今回もものすごく熱を込めてお話していました。

そうしておっしゃったのが、「やっぱりグランピング施設でパーティがしたい。実は最初の頃にちらっと姪っ子たちにその話をしたら、ものすごく楽しみにしてくれていて。両親に素直に自分たちの気持ちを話したら、そこまでの気持ちを持っていたことを知らなかった、勝手に湖北の式場でしたらなんて言ってごめんね。と、気持ちを分かってくれたんです。」
その言葉を聞けた私はお伝えしました。「そこまで気持ちが固まっていらっしゃって、ご両親にも理解を得られているのであればやりましょう。ここからは本気で準備に入っていきますからね!!」と気合いが入りました。

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そうして急ピッチで準備を進めていきました。
ざっくりと内容をまとめると、このような流れが決まりました。

・近江八幡の挙式会場にて神前式
・その後近江八幡でドレスとタキシードに着替えて、少し撮影
・琵琶湖を渡って北小松のグランピング施設でのパーティ

ここで新たに壁が出てきました。北小松のグランピング施設は宿泊施設のためチェックイン時間が15時。挙式スタートが11時なので、挙式後少し時間が開くのです。せっかくなら、近江八幡でも記念撮影がしたいけれど、
挙式会場は普段式場として運営されている場所ではなく、お参りをされるための施設なので挙式後長く居させていただくことができない。どこか場所を変えてお色直しをする必要がありました。
そこで、近江八幡市池田町の洋風住宅街にある、『ウォーターハウス記念館』をお借りすることにしました。


ここでお色直しをさせていただくとしても、せっかく施設利用料をお支払いしてお借りするのだから、この美しいヴォーリズ建築の中で、撮影だけでなく、ウエディングケーキ入刀をするのはどうかと閃きました。
というのも、グランピング施設でのパーティーはバーベキューのため、レンタルのドレスを着用してのお食事は難しく(そもそも雰囲気に合わないと感じていました)、私服でケーキ入刀をすることがぴんとこない‥と、おふたりのなかにほんとうはケーキ入刀をされたいお気持ちがありながらも、選択肢から外れていました。このことを思い出し、ウォーターハウス記念館ではケーキ入刀と写真撮影タイムを入れることにしました。


ちなみに…せっかくなので、『ファーストミート』も行いました(実は新郎さまはサプライズで新婦さまの好きなピンクのバラを1輪、そしてお手紙を用意されていました。)

ファーストミートは部屋の間仕切りを閉めて、おふたりだけで。照れくさくって、うれしい、そんな表情に私も嬉しい気持ちになりました。

ケーキ入刀後、ゲストがケーキを召し上がっていらっしゃる間におふたりは撮影タイム。
 
こうして歴史的建造物のなかで、特別な時間を過ごされたのち、いよいよグランピング施設への移動です。各自1時間半ほどかけて、グランピング施設へ。
グランピング施設から徒歩30秒ほどで琵琶湖の浜辺に出ることができるので、到着後すぐに琵琶湖の湖岸で撮影を行いました。
 
新婦さまが通われている華道教室の先生から手作りのブーケをプレゼントしてくださったとのことで、せっかくなのでここで持たせていただきました。
それにしても、さっきまでの景色とは打って変わって琵琶湖をバックに撮影。短時間ででこんなにもガラッと雰囲気を変えて過ごすことができるのは滋賀県ならではですね。

そしていよいよグランピング施設『Lakeside Resort & Cafe AFUMI KITAKOMATSU』へ。

ドームテントが11棟と、ヴィラ(ロッジ)が1棟並ぶAFUMI KITAKOMATSUさんで、バーベキューパーティです。
ヴィラ棟のテラス部分に食事スペースを設置しました。

食事はバーベキューなのでテーブル装花は最小限に、代わりにヴィラ棟入り口がウエディングらしく印象的になるように階段装花を設置。

これがめちゃくちゃ可愛かったです!絶対階段装花にすると華やかになって良い!という上嶋のイメージを、フローリストさんがヴィラ棟の雰囲気に合わせてとっても素敵に仕上げてくださいました。(上嶋制作の水彩画ウェルカムボードとのバランスもとっても良くて、思わずフローリストさんとガッツポーズしてしまいました‥^^v)
そしてバーベキューはそれはそれは、とーーーっても楽しそうでした。(新郎家さんでは年1回ご家族が集まられるタイミングでビンゴ大会をされるそうなのですが、今回もご家族が色々とご準備をしてくださっていました)


(ご家族だけのウエディングの良さは、新郎新婦さまとご家族の距離が近いこと。こんな風に気兼ねなく、気楽に楽しめるところにある、と常々感じていますが、今回もものすごく楽しそうでした。お母さまのこんな表情、とってもいいですよね^^)

バーベキュー中盤には、新婦家さんが新婦さまにサプライズのムービーを用意してくださっていました。(実はこのために、こっそり新婦さま宅にお邪魔していた上嶋。お母さまや弟さん、お兄さん、そしてご親戚のみなさんがかなり頑張ってご準備されていたのを知っていたので、上嶋もとっても感慨深い想いでした‥)


嬉しくて涙されている新婦さまと、この瞬間を迎えたことにほっとされたお母さま。上映後は思わずお母さまとハイタッチしてしまいました!(お母さま、その節はほんとうにお疲れさまでした^^)

そしてそして‥新郎家さんからもサプライズがありました。姪っ子さんのヴァイオリン生演奏と、みなさん揃ってのダンス。お父さまお母さまも一緒にこの日のために練習を重ねてこられたそうです。
ものすごく温かい時間が流れていました。

嬉しいなあ‥見ている私たちスタッフまでじんわり心が温まる…そんなご家族の気持ちが嬉しくてたまらない時間でした。

パーティの結びには、今日の幸せを想いながら、これからのみなさんの幸せを願ってキャンドルリレーをしました。

初めてお会いした日、新郎さまが楽しそうにお話されていたウエディングの形が、すぐ目の前にあって、私も胸がいっぱいでした。
ちゃんとおふたりがおふたりの力で、自分たちのやりたいという想いに辿り着かれてよかった‥
ご家族のサポートのおかげで、この日を迎えられたこと、ほんとうに、ほんとうによかった‥
一言では形容できない気持ちがたくさん溢れてくる瞬間でした。

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挙式会場からの移動もあったので、1日がとっても充実していて、通常のウエディングよりも長くなりましたが、それでもやっぱりあっという間の1日でした。パーティお開き後、私たちが撤収したあとも夜通しご家族で話に花が咲いたそうです。
このウエディングの形が確定するまでは、ご両親も少し心配をされていたようで、最初はグランピングなんて大変なのでは?という空気がなかったわけではありません。
それでも、グランピングにしようと決意されてからは、ご家族みなさんがせっかくやるならと、とっても楽しみにされていたそうで、泊まりのウエディングも良いものだなあ‥と傍で見させていただき、逆に私たちも泊まりたかったくらい、羨ましい雰囲気でした^^滋賀県は幸いにも琵琶湖がすぐそこにあるので、内陸部から海に出るよりも移動距離も少なく、こういう1日の過ごし方も今後出逢ってくださる新郎新婦さまの選択肢のひとつとして、ご提案していけたらいいなと思いました。

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追記1


式後カメラマンから届いた写真を見て気づいたのですが、私がいない間にカメラマンの奥田さん、アテンドスタッフの熊木さん、ビデオグラファーの野田さんが新婦さまと記念撮影をしていたようです。
むむむ!私も入りたかったーーー!と羨ましくなったんですが、私がいなくてもこういう空気でおふたりやゲストのみなさんと心を通わせてもらえるスタッフと一緒にお仕事できていることが、とっても嬉しかったのでした。


ちなみに…グランピングウエディングではおふたりから、スタッフも含めた全員におそろいのリストバンドを用意してくださっていたので、みんなではめて写真を撮らせていただきました。
この写真を見返して、また、嬉しさが込み上げてくるのでした。改めまして、ほんとうにおめでとうございます!!!おふたりの担当をさせていただき、とっても楽しくで幸せな日々でした。

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追記2

結婚式から1ヶ月後…
新婦お母さまからお礼の品とメッセージが届きました‥(なんというお心遣い‥感激でした、ありがとうございます!!)
そのときいただいたお母さまからのメッセージがとっても嬉しかったので、お母さまにご承諾を得て、こちらでご紹介させていただきます。

ご無沙汰しております。
あんなに心温まる結婚式をしていただいて、ほんとうに嬉しくて嬉しくて。

結婚式も山あり谷あり、1つ決まったかなあと思うとまた振り出しに戻る、の繰り返し。日は過ぎていきますのでどうなるんだろう‥とふたりを見守ることしかできなかった私でした。
上嶋さんのおかげで他にない素晴らしいふたりの笑顔をたくさん見せていただき、これからはふたりで人生を切り開いていけるだろうと思いました。

ビデオや写真を見ていただいた方々から、おめでとうと言っていただき、私も毎日笑顔で過ごさせていただきました。
嬉しい余韻に浸って過ごさせていただいた1ヶ月です。

▼クリックしていただくとこの結婚式の動画(Youtubeリンク)をご覧いただくことができます

Wedding Produce Neiro(ねいろ)
上嶋千絵

Place :  ウォーターハウス記念館/AFUMI KITAKOMATSU
Photo : Okuda Shun
Movie : Nody films
Flower: Maison U
Dress : ayumibridal
Hair Make : Hashimoto Tomomi
Attend support : Kumaki Shinobu

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